郷倉(資料館)の主な収蔵品

 郷倉は本来、米を備蓄しておく倉庫です。しかし、現在は民俗資料館として、近世の農民の暮らしを知る貴重な資料と生産用具や食器・台所用具などを収蔵しています。


食器と台所用具

 昔は囲炉裏を囲んで食事をしていたが、台所が作られ、お膳で食事をするようになった。昭和20年頃からテーブルが主に使われるようになった。

 みそやしょうゆ、梅干しなどは、各家庭でつくり、かめに入れて保存食とされた。

弁当箱とお椀・重箱とお膳
弁当箱とお椀・重箱とお膳
水がめ・かめいろいろ
水がめ・かめいろいろ
皿・茶碗・土瓶
皿・茶碗・土瓶
せいろ・臼と杵・升いろいろ
せいろ・臼と杵・升いろいろ


衣類・食器収納具

長持(ながもち)は、衣服などを入れ、保管や運搬するのに江戸時代以降さかんに使われた。

 箪笥(たんす)は、衣類や小道具などを整理、保管する家具。

 柳行李(やなぎごうり)は、昔は主に旅行や引っ越しの時に、荷物を運搬するのに用いられた。今でも衣類の保管などに使われている。

長持(ながもち)・箪笥(たんす)・茶箪笥(ちゃだんす)
長持(ながもち)・箪笥(たんす)・茶箪笥(ちゃだんす)
柳行李(やなぎごうり)
柳行李(やなぎごうり)

信仰と行事

 お守り札・縁起物、信仰や行事に重要な役割をはたした用具。

 柳樽は朱塗りの酒樽で結婚などの祝い事に使われている。

柳樽(やなぎだる)・徳利(とっくり)
柳樽(やなぎだる)・徳利(とっくり)

灯(あかり)と火(ひ)

昔は暖房には、火鉢やこたつ、照明にはあんどんが使われた。

あんどんの油は、毒荏(どくえ)、菜種油、魚油などが使われた。

行灯(あんどん)
行灯(あんどん)
火鉢(ひばち)・炬燵(こたつ)
火鉢(ひばち)・炬燵(こたつ)


消防用具

 江戸時代には、竹製のバケツや竜吐水(りゅうどすい)が使われ、刺子の法被(はっぴ)・防火頭巾・とびが主な消火道具だった。

手押しポンプ・竜吐水(りゅうどすい)・刺子の法被(はっぴ)・防火頭巾
手押しポンプ・竜吐水(りゅうどすい)・刺子の法被(はっぴ)・防火頭巾

生産用具

木桶を提げた天秤棒を担ぐ人・籠を背負った人
木桶を提げた天秤棒を担ぐ人・籠を背負った人
犂(すき)・かご・いじこ
犂(すき)・かご・いじこ
ころがし・まんがあ・鍬・土入れ・雁爪(がんづめ)
ころがし・まんがあ・鍬・土入れ・雁爪(がんづめ)
唐箕(とうみ)
唐箕(とうみ)
蓑(みの)・笠(かさ)
蓑(みの)・笠(かさ)

機織り(はたおり)道具

地機で着尺を織る
地機で着尺を織る

機織(はたおり)

 昭和のはじめ頃までは、蚕(かいこ)を飼い、棉(わた)をつくり、機織がさかんに行われた。昔はどこの家にも「はたご」(機織機)があり、機が織れないと嫁にいかれないと言われていた。

 たて糸を開口させる仕掛けは「あそび」と言われる半綜絖(はんそうこう)。


糸車で緯糸(よこいと)を管(くだ)にまく
糸車で緯糸(よこいと)を管(くだ)にまく

糸車による管巻き(よこ糸巻き)の様子。

 糸車は綿を糸に紡ぐための道具でもある。

 たてかけてある道具は「へだい」(整経台)といい、布を織るためのたて糸を必要な本数準備するための道具。